2026年FIFAワールドカップで、ノルウェー代表の躍進を支えるエースストライカー、アーリング・ハーランド選手の「ヘアゴム」が今、思わぬ形で話題になっています。長い金髪をきっちりとまとめたお団子ヘアを留めているのは、なんと韓国の伝統的なヘアアクセサリーブランド「KKNEKKI(クネッキ)」の商品。試合のたびにノルウェー代表のユニフォームカラーに合わせてヘアゴムの色を変えるという徹底ぶりが世界中のサッカーファンの目に留まり、SNSで一気に拡散しました。韓国では「まさかうちのヘアゴムが」と驚きと誇らしさが入り混じった反応が広がっています。

今、韓国で何が起きているのか
ワールドカップの開幕以降、韓国のSNSやポータルサイトのニュース欄には、ハーランド選手の試合前のヘアセットを捉えた動画や写真があふれています。Korea Timesの報道によると、KKNEKKIのSNSフォロワーは1万人以上増加し、公式サイトへのアクセス数もおよそ70%増加したとのことです。地方の市場や伝統的な手芸用品店で長年扱われてきたこのブランドに、海外から直接問い合わせが殺到するという、これまでにない現象が起きています。
ノルウェー代表カラーに近い白と青のヘアゴムは一部店舗で品切れになるほどの人気で、40年近い歴史を持つ地味な生活雑貨ブランドが一夜にして世界的な話題の中心になったことに、韓国メディアも驚きを隠せない様子で報じています。
なぜこのブームは始まったのか:背景を解説
KKNEKKIは1987年創業、慶尚道の方言で「毛糸」を意味する言葉が由来のブランドで、韓国の伝統的な職人技術に根ざした丈夫でカラフルなヘアゴムを作り続けてきました。ヨーロッパでの流通は2015年、オランダの企業Bon Depが販売権を獲得したことから始まり、DesignRushの報道によれば、Bon Depは2024年にブランドそのものを買収しています。
ハーランド選手とKKNEKKIの関係は単なる一過性のタイアップではありません。もともと熱心な愛用者だった彼は、同社の少数株主兼投資家にもなっているといいます。試合のたびにユニフォームカラーとヘアゴムの色を細かく合わせるスタイリングが評判を呼び、Korea Heraldによると、ハーランド選手とのコラボによる限定コレクションが発売され、即完売するほどの人気となりました。
また、KKNEKKIのように長年地道に事業を続けてきた韓国の中小メーカーにとって、今回のような世界的な注目は非常にまれな機会です。韓国国内では大手財閥系企業のブランド力が強い一方、こうした昔ながらの家族経営の工房やメーカーは、品質の高さに反して知名度で苦戦することが少なくありません。今回のブームは、そうした「隠れた名品」に光が当たる好例として、韓国の中小企業関係者の間でも注目されています。
韓国のネット民は何と言っているのか
韓国国内の反応は総じて好意的で、どこか誇らしげです。「おばあちゃんの裁縫箱に入っていたようなヘアゴムが、まさかヨーロッパで検索されるとは」という驚きの声が多く見られ、地味な日用品が海外で「Kファッション」として扱われることへの新鮮な戸惑いも語られています。ワールドカップという舞台で、応援しているわけではないノルウェー代表に、こうした形で親近感を持てるようになったという声も少なくありません。中には「ハーランドは韓国の非公式広報大使だ」というユーモラスなコメントも見られ、同時に「急な海外需要に中小メーカーが対応できる体制づくりが必要だ」という実務的な指摘も出ています。

この現象が映し出す韓国文化
KKNEKKIの一件は、韓国の日常生活に根付いた職人技術が、外からの視線があって初めて注目される典型的な例といえます。これは日本にも通じる感覚かもしれません。地方の小さな工房が作る生活雑貨が、輸出やブランディングを意識せずに黙々と作られ続け、あるとき海外からの評価をきっかけに「逆輸入」的に再評価される構図は、日本の伝統工芸品や地場産業にも重なる部分があります。KKNEKKIも同様に、もともとは実用一辺倒の商品でしたが、ハーランド選手というフィルターを通すことで「機能美」としての価値が可視化されたと言えるでしょう。
興味深いのは、韓国社会がこうした「海外での再評価」に慣れている点です。最近では、フランス人ダンサーが仕掛けた韓国語学習チャレンジや、レモンコアと呼ばれるファッショントレンドなど、海外発の反応がきっかけで国内での再評価が進む事例が相次いでいます。K-POPアイドルの交際報道が今も社会的な関心を集め続けているのと同じように、韓国社会は「外からの視線」に敏感に反応し、それを国内の話題として消費する文化的なパターンを持っているようです。
海外の類似事例と比較する
アスリートが身につけたアイテムが話題になる現象自体は珍しくありませんが、KKNEKKIのケースが特徴的なのは、もともと輸出やブランディングを意図していなかった、極めて生活密着型の中小ブランドだという点です。日本でも、アニメやSNSをきっかけに地方の文房具や工芸品が突如海外で人気になる例がありますが、KKNEKKIの場合はそこにトップアスリート個人の投資家としての関与という要素が加わっている点がユニークです。2015年の欧州流通権取得、2024年のブランド買収という段階を経て、Bon Depがすでに国際展開の土台を築いていたことも、今回の急激な需要増に対応できた一因と考えられます。K-POPやK-ビューティーのように計画的なマーケティング戦略で広がったわけではなく、あくまで一人の選手の個人的なこだわりから偶発的に広がった点が、このブームを特に興味深いものにしています。
まとめ
KKNEKKIの物語は、地味で見過ごされがちな日用品でも、思いがけないきっかけで世界的な注目を集める可能性があることを教えてくれます。1987年創業の韓国のヘアゴムブランドが、2026年ワールドカップという舞台で、一人のノルウェー人選手の細やかなスタイリングを通じて世界に知られるようになりました。このブームが一時的なものに終わるのか、それとも新しい市場を切り開くきっかけになるのか、今後の展開が注目されます。韓国のカルチャーやトレンドについてもっと知りたい方は、ぜひunboxingkorea.comの他の記事もチェックしてみてください。